What’s M&A? 成功するM&Aと事業の買収・売却。
リスクを回避し、売手・買手双方の利益最大化のためにできること

成功するM&Aと事業の買収・売却

M&Aといえば以前は、大企業同士の合併や事業再編、もしくは経営再建の一環として行われることが定番であり、中小企業の経営者には身近なものではありませんでした。
しかし、団塊の世代と呼ばれる経営者層の引退が進み、その後継者探しが本格化する中で注目を浴び始めたのが「スモールM&A」という、事業承継の形です。
 
本章では経営者に向けて、
・M&Aをどのように活用すれば良いのか
・どのようなスキーム(手段)があるのか
・そこにはどんなリスクがあるのか
そのような視点で、実例を交えながら分かりやすい解説をして参ります。
 

目次

◆M&Aの目的とは何か?売手と買手の双方の視点から解説
□売手側から見たM&Aの目的は、後継者不在の会社の継続経営、投資資金獲得など多岐に渡る
□買手側から見たM&Aの目的は、人員不足やノウハウを含めた買収によるスケールメリット実現
□M&Aは必ずしもP/Lだけを重視する必要はなく、ソリューションは無限大
□スモールM&Aで使える手法とは、シンプルで分かりやすい株式譲渡が王道
 

◆事業の買収後・売却後に起こり得る問題とは何か?簿外債務にも留意してリスク回避
□【買手】実はものすごく怖い事業買収。契約や経営姿勢、債務などに潜むリスク
□【売手】実はものすごく怖い事業売却。契約や経営姿勢、債務などに潜むリスク
□円満な事業承継のM&Aの秘訣は、高度な専門知識と圧倒的な経験を兼ね備えたプロへの相談
 


◆M&Aの目的とは何か?売手と買手の双方の視点から解説


□売手側から見たM&Aの目的は、後継者不在の会社の継続経営、投資資金獲得など多岐に渡る

・後継者がいない会社を経営しているが、廃業するしかないのか
・撤退を考えているような赤字事業(会社)でも売れるのか
・一部の事業を売却し換金できるものなら相談に乗ってほしい
 
などの悩みはM&Aで解決できます。
スモールM&Aを選択する経営者が抱えている相談内容は、この3つに集約されるケースがほとんどです。
 
個別に見ていきましょう。
 

・後継者がいない会社を経営しているが、廃業するしかないのか

 
そのようなことはありません。
現に、団塊の世代と呼ばれる経営者層が70代を迎え始めた頃から、スモールM&Aの成約件数は急増しており、その数は右肩上がりで増え続けています。
 
利益が出ている会社、資産のある会社はもちろん、赤字であり、特段の資産(土地建物)も保有していない会社であっても、M&Aの対象になる可能性は十分に考えられるでしょう。
 

・撤退を考えているような赤字事業(会社)でも売れるのか

 
ケース・バイ・ケースですが、スモールM&Aにもっとも大事な考え方は「売手と買手の双方にとってバランスの良い落とし所」です。
そのため、交渉期間に余裕がない案件は極めて成約が難しい、といわざるを得ません。
赤字を出し資金繰りに窮しながら、数カ月~半年、場合によっては1年以上にも及ぶ可能性がある買手候補の探索と交渉期間に耐えられるかどうかを念頭に置いてください。
それが可能であれば、この目的でのM&Aも十分可能性はあります。
 

・一部の事業を売却し換金できるものなら相談に乗って欲しい

 
事業の先行きが厳しい見通しであるため、不動産賃貸業だけ手元に残して、本業は事業譲渡などで同業大手に承継するというM&Aは少なくありません。
この場合、譲渡した対価はオーナー個人ではなく会社に支払われるため、役員報酬や配当などを通じて収入を得ることができます。
所得税が気になるのであれば、そのまま新しい事業を始める投資資金として利用するという選択肢も考えられます。
 


□買手側から見たM&Aの目的は、人員不足やノウハウを含めた買収によるスケールメリット実現

・不足する技術や人員を補いたい
・同業他社を買収し規模の拡大を目指したい
・新たな商圏を確保するために他地域の会社を買収したい
 
などの経営ニーズは、M&Aによって満たすことができ、事業買収の動機は、おおむねこのあたりに集約されます。
この3点を細かく見ていきます。
 

・不足する技術や人員を補いたい

 
中小企業には、技術や職人が多くありながら、経営資源を有効に使いこなせていない現実があります。
もちろんこれは、ものづくりに限らずあらゆる分野で見られる現象です。
ノウハウを持つ経営者の手にかかれば、シナジー効果などというきれいな言葉では済まないほどに、双方にとって成長の起爆剤になるでしょう。
 
必ずアンテナを高く持ち、常に情報収集するべき王道の動機です。
 

・同業他社を買収し規模の拡大を目指したい

 
ものづくり企業からサービス事業を展開する会社、小売店に至るまで、事業の規模を拡大することによるメリットは非常に大きなものがあります。
事業規模を大きくするには通常、人を採用するところから事業所の立ち上げ、人の教育といった先行投資と固定費の増大が大きな問題です。
しかしながら、既に動いており、なおかつある程度の収益について目処がついている同業他社を買収できる場合、そのリスクマネジメントは極めて容易になることから、M&Aのメリットは非常に大きくなります。
 
一方でこの場合、異なる企業文化と一つになることや、間接人員の削減について、事前に十分な調査が必要になります。
有効ではありますが、注意深く進めるべき動機とお考えください。
 

・新たな商圏を確保するために他地域の会社を買収したい

 
この動機も非常にメジャーですが、小売店や飲食店でそのメリットが特に顕著です。
 
ただし、消費者の消費性向や好みは、同じ県下であっても驚くほど地域性があるものです。
この違いを無視し、あるいは軽視し、他地域への進出を行うことはリスクマネジメントの上で賢明であるとはいえません。
事前に十分検討するべき事業買収の活用方法といっていいでしょう。
 


□M&Aは必ずしもP/Lだけを重視する必要はなく、ソリューションは無限大

M&Aにおいては必ずしも利益が出ている会社だけが価値があるわけではなく、時に赤字企業でも大きな価値があります。
 
弊社がコンサルティングを手掛けた具体的な事例をお話します。
 
勢いがある若者が経営する、あるものづくり企業の事例ですが、従業員の平均年齢が20代後半。
ものづくり企業ではあるものの、画一的なライン生産ではなく、受注生産の一品ものを製造・販売する会社です。
引き合いが多く納品は3~6カ月待ちで機会ロスが増加しつつあり、なおかつ人を採用しても作業場が無く、新たな生産拠点に移らなければどうにもならない状態でした。
 
普通の発想で考えれば、このような状況では新たに土地を購入し工場を新設して、従業員を新規採用し一から教育することでしょう。
その方が企業マインドの醸成と一体化が図れ、クオリティ管理の面でも好ましい結果が期待できます。
 
一方でこのような投資には、1億円や2億円では済まない先行投資が発生します。
なおかつ、教育への投資は回収までに時間がかかり、その金額もばかになりません。
その頃には需要も変化することが考えられ、リスクマネジメントの上では必ずしも好ましいといえる方法ではないでしょう。
 
この際に、若き経営者が選んだ問題解決方法が事業買収でした。
しかもただの事業買収ではなく、出された条件は、
 
・土地と建物があり、なおかつ上物は除却済みで安く買える物件
・事業そのものも赤字で良いので、安く買えることが望ましい
・長年に渡り工業製品の製造に携わってきた町工場であればなお良い
 
というものです。
 
普通に考えて、このような物件を買う動機はなかなか思いつきません。
しかしこの若き経営者の目的は、
 
1.稼働実績のある建物付きの工場を得ること
2.経験不足を補う熟練の職人を採用(吸収)すること
3.既存事業は放棄を前提にするので赤字でも良いこと(安く買えるのでむしろ望ましい)
 
というものでした。
 
そして、このニーズに合致する町工場が見つかりました。
通常であれば、経年劣化で傷んだ建物はむしろマイナス評価になり、売却額から差し引くこともあるのですが、それすらも事業の継続価値が評価されるM&A取引が成立することになります。
 
結果としてこのディール(取引)は、双方にとって非常に満足度の高いM&Aになり、なおかつ買手企業は飛躍的な成長を成し遂げています。
M&Aは必ずしもP/L(損益計算書)に依存しない好例といえるでしょう。
 


□スモールM&Aで使える手法とは、シンプルで分かりやすい株式譲渡が王道

スモールM&Aにおいては、株式譲渡がもっとも一般的で、もっとも分かりやすいでしょう。
オーナー企業の経営者兼株主が、その保有する株式を全て買手側の企業もしくはオーナーに譲渡する方法です。
個人として現金を受け取ることがほとんどであり、譲渡所得に関わる課税関係は熟知しておく必要があります。
 
シンプルでわかりやすいために、M&Aに初めて臨む場合であっても直感的に「損得」を計算しやすく、双方にとって納得性の高いディール(取引)になりやすい方式です。
 
そう言った意味では、M&Aを仲介する会社のWebサイトでは、非常に多くのM&Aスキームを高い専門性で解説していることがありますが、中小企業のM&Aにおいて、そのほとんどは参考程度の知識といっていいかもしれません。
他の方式については、必要性を感じられてからコンサルタントに相談をしても十分です。
きちんと理解するべきなのは、スモールM&Aで実際に使う可能性が高いスキームだけであり、特に株式譲渡によるM&Aをご理解の上、シミュレーションをすれば良いでしょう。
 
後は、この方式を使う際にはどれくらいの費用がかかり、結局のところ売却額からどれくらいが引かれて手元に残るのか。
事後にかかってくる課税関係にはどのようなものがあるのか。
スキームを進めるにはどれくらいの期間がかかるのか。
 
M&Aのスキームを全て勉強するよりも、このような情報を熱心に招集された方がお役に立つ可能性が高まります。
ご要望があれば弊社コンサルタントがご対応させて頂きますので、お気軽にご相談ください。
 
⇒各種お問い合わせ
 


◆事業の買収後・売却後に起こり得る問題とは何か?簿外債務にも留意してリスク回避

スモールM&Aにおいては、お互いに馴染みの経営者で気心も知れているということで、M&A仲介事業者を通さずに事業買収(売却)を行うことも珍しくありません。
実際に、極めて規模が小さな事業や会社であればリスクも限定的であることから、そのような取引も検討に値する選択肢といって良いでしょう。
 


□【買手】実はものすごく怖い事業買収。契約や経営姿勢、債務などに潜むリスク

しかしM&Aとは、どれだけ小さなものであっても、極論すれば無限のリスクが潜んでいることを知っておく必要があります。
 
では具体的に、事業買収にはどのようなリスクがあるのか。
スモールM&Aで考えれば、以下のようなリスクが考えられます。
 
・買収企業の契約や納品物に潜むリスク
・買収企業の経営姿勢に潜むリスク
・債務に関するリスク
 
順番に見ていきましょう。
 

・買収企業の契約や納品物に潜むリスク

 
当事者同士の合意で進める場合、これがもっとも巨大なリスクになるでしょう。
大きな話をすれば、東芝の経営が大きく傾いた原因となったのは、買収したアメリカの子会社が締結していた契約に伴う義務でした。
 
東芝の件についての詳細は割愛しますが、買収した会社が例えば、「納期を守れなければ受注額の三倍返し」というような特殊な契約を結んでいた場合。
業界によってはあり得る慣例ですが、財務諸表のどこにも現れない巨大な潜在債務でありリスクとなります。
 
ある日突然それが現実のものになっても、履行義務者は一義的に法人であり、その会社を買収した経営者となるでしょう。
金額によっては、東芝のように、親会社と共に経営破綻が現実のものとなります。
 

・買収企業の経営姿勢に潜むリスク

 
これはいろいろな可能性が考えられますが、もっとも分かりやすい例をあげると、有給休暇の未消化や残業代の未払いといった隠れ債務です。
中小企業にはよくあることと簡単に考えてはいけません。
従業員の働き方を改善し、法的保護を徹底するという考え方は、年々その適用が厳格になってきている重大な問題です。
従業員との雇用契約書を結んでいない中小企業は非常に多くありますが、こうなればもはやリスクを限定することが困難になります。
そしてある日、従業員が会社に対し未払い残業代の支払いを一斉に求めたら、その支払義務者はよほど特別な取り組めをしていない限り、法人となるでしょう。
法人と従業員との雇用契約に他ならないからです。
 
当事者同士の我流で事業譲渡(譲受)を行う上で、非常に怖い事例の一つです。
 

・債務に関するリスク

 
経営者であれば、銀行借り入れに関する取り扱いは、当事者間売買でも気が回りきれいにするかもしれません。
しかし債務とは、時に予想もしない形で当事者間に降り掛かってきます。
例えば、買収した会社が厚生年金基金に加入しているケースでお話しましょう。
 
株価が高値で推移している時は余り問題になることはありませんが、株価が低迷すると、一般に企業が任意で加入している厚生年金基金は、大変大きな運用損を抱えていることがあります。
このような場合、基金を脱退する際には時に億単位の脱退金を支払う義務が発生することがあるのです。
この際、事業を買収したことを脱退の動機にすることで免除になる可能性はまずありません。
 
他にも隠れ債務の可能性は無数にあり、全く楽観視はできません。
気軽に当事者同士の同意だけで事業を買収すると、時に恐ろしいことになることを、理解する必要があるでしょう。
 


□【売手】実はものすごく怖い事業売却。契約や経営姿勢、債務などに潜むリスク

事業の譲渡(譲受)の際に明らかになっていなかったリスクや、あるいは売手側として問題になると認識していなかったリスクが事後に明らかになった場合、多くの場合必ず揉めます。
こちらも順番に見ていきましょう。
 

・契約や納品物に潜むリスク

 
例えば契約内容がもたらす買手側への不利益であれば、買収側が事前に全ての契約内容を精査するべき注意義務があったと主張することは可能かもしれません。
特別な取り決めがなかった場合でも、その全額の補償まで求められる可能性は低そうです。
 
しかし、買収前に納めていた製品がクライアントに深刻な損害を与え、その賠償を求められたというケースではややこしくなりそうです。
そもそも製品そのものの問題なのか、買収後のメンテナンスを怠っていたのではないのかなど、それぞれの立場がぶつかりあうことになり、時に売却価額を上回る賠償問題にも発展しかねません。
 
売手側にとっては、このようなリスクは必ずゼロにしてから経営から手を引くべきであるといえるでしょう。
 

・経営姿勢に潜むリスク

 
この問題も深刻です。
そもそも企業経営者であれば、法律で義務付けられている雇用契約書を従業員と結んでいるのかいないのか。
有給休暇は法律の規定通りに与えており、なおかつ消化させているのか。
残業代は間違いなく精算し支払っているのか、といった問題は完全に把握していなければならない事象ばかりであり、
「残業しているとは知らなかった」
「有給休暇は与えていたが、従業員の意志で取得していなかった」
などといっても説得力はありません。
 
つまり、法律で求められている雇用契約書を結んでおらず、知っていながら有給休暇を取得させることなく、残業代も支払っていなかった事実を正確に認識した上で、事業を売却したと見なされる可能性があるのです。
 
こうなれば、これら問題がM&A終了後に明らかになれば、その全ての問題から逃れられる可能性は極めて低くなるでしょう。
経営者個人の経営姿勢によるところが大きいリスクは、売却前に必ずきれいにしておかなければなりません。
 

・債務に関するリスク

 
債務についてのリスクは、財務諸表などに記載があるもの、あるいは記載がなくてもその存在が容易に推定できるものであれば、売手のリスクが無限に大きくなるようなことはないでしょう。
 
例えば、小売店のポイントカードや金券などがこれに相当します。
 
一方で、買手側のリスクで言及した厚生年金基金の場合、リスクが無限定である上に、その存在を売手側として知っていたことが容易に推測できる事柄であることから、やはり100パーセント、その責任から逃れられるというには厳しいものがあるでしょう。
 
債務についても、隠れ債務を含めてきれいにした上で、さらに隠れた債務が存在する場合の取扱いを事前に決めておくことが重要です。
 


□円満な事業承継のM&Aの秘訣は、高度な専門知識と圧倒的な経験を兼ね備えたプロへの相談

買手にとっても売手にとっても、非常に魅力的でありながらリスクも決して小さくないM&A。
売手側にとっては、自分の子どもといってもよい会社を手放し、気持ちよく引退するために取り組んだはずのM&Aだったにもかかわらず、いつまでもリスクが限定できないこともあります。
気が気ではない上に、ある日突然売却価額の全てを失うのでは、などと考えていては夜も眠れません。
 
また、会社に残した従業員の幸せを願いながら引退したにも関わらず、買手企業が、右から左にさらに会社を売り払ってしまうなど、心を痛めることになるような可能性も、決してゼロではありません。
経営権を手放した以上、法律に違反する行為でなければ、新しい経営者の経営判断を阻止する手段はほとんど存在しないので、売却側の元経営者は無力です。
 
では、このようなリスクを避け、円満なM&Aを実現するためにはどうすれば良いのでしょうか。
 
実は散々に脅かしたような上記のようなケースは、私たちのようなM&Aコンサルティングを行っている会社にとっては、「よくあるリスク」です。
スモールM&Aに潜むリスクは、会社や事業形態が違ってもその8~9割方は共通しているといっていいでしょう。
見分けるポイント、潜んでいるリスク、その回避の仕方は共通する部分が多く、何よりも経験がものをいいます。
 
中には、業界の慣例や特殊な事例など、経営者様からのヒアリングで初めて明らかになるリスクも存在しますが、これはコミュニケーション能力の高い担当者を擁するコンサルティング会社であれば、当然に解決される問題です。
 
長年に渡り会社を経営し、あるいはものづくりを極め、常人には想像ができない高みに昇った経営者がいるように、私たちはM&Aコンサルティングのプロフェッショナルです。
事業評価からリスク診断、シナジー効果の予測など、M&Aに関するあらゆるニーズにお応えすることができます。
M&Aの規模に応じた最適なプランニングで、クライアントの希望に沿ったディールの成立を支援し、事後にリスクを残さない。
ぜひそんなプロに大事なM&A案件をご相談ください。
 
結局のところ、月並みな結論ではありますが、「円満に事業承継するためのM&A」は、専門家に頼るのが最短ルートといって間違いないでしょう。

 
⇒M&Aのメリット・デメリット 企業買収の成功と効果
 

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