What’s M&A? 重要な経営戦略「M&A」の基本的知識の解説書。事業譲渡や資本業務提を成功させるために

M&Aとは?成功する秘訣と基礎知識

日本は、少子高齢化による人口減という、歴史上類を見ない局面に差し掛かっています。
人口減による国内市場の縮小と後継者不足からここ数年、中小企業を中心に事業譲渡合併、資本業務提携など、企業間のM&Aが加速しており、今後もこうした事業承継の流れは続くと予想されます。
 
ここでは、M&Aを検討している企業の経営者の方向けに、M&Aを成功させるための基礎知識やポイント、メリット・デメリットからM&Aの実行手続き、アドバイザーの選び方まで、わかりやすく解説します。
M&Aの基本的な知識を固めることは、M&Aで失敗しないための重要な第一歩です。
 
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目次

◆M&Aとは
◆M&Aの目的
◆M&Aの手法
◆M&Aのメリット・デメリット(留意事項)
◆M&Aの流れ
◆M&Aを成功させるためには~マッチング(パートナー探し)~
◆M&Aを成功させるためには~エグゼキューション(手続きの実行・進捗管理)~
◆M&Aに必要な経費
◆M&Aで知っておきたい税金の基本
◆M&Aの市場背景
◆まとめ

 

◆M&Aとは


M&AのMは英語のMergersの頭文字で、Mergersは合併を意味しています。
AはAcquisitionsの頭文字で、その意味は買収です。
つまり、M&Aとは、英語のMergers and Acquisitions(マージャーズ・アンド・アクイジションズ)の略語であり、複数の会社を一つに統合する合併と、会社の支配権(経営権)を手に入れる買収のことを指しています。

 

◆M&Aの目的


企業にとって、M&Aは重要な経営戦略の一つです。
M&Aで会社を「取得する側」は、他社から経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報など)を取り入れることによって、中核にしている事業を強化したり、弱みを補完したり、迅速に新規事業に進出することができます。
一方で、会社を「取得される側」の理由としては、「後継者問題」を解決するためというケース(事業承継型のM&A)、「業績不振」というケース(事業再生型のM&A)、が代表的です。
 
⇒中小企業の市場環境とM&Aによる事業承継

 

◆M&Aの手法


合併、買収、それぞれの手法の特徴について、少し詳しくご説明します。
 
【M&Aの狭義と広義】
M&A【M&Aの狭義と広義】

資本業務提携

「業務提携」は、互いの利益のためにノウハウや技術を共有して特定の分野で協力することを指し、「資本提携」は一方が他方の株式を取得したり、お互いが相手の会社の株を持ち合ったり、独立性を保ちながらも関係を強化することです。
資本業務提携は、この2つを同時に行うことになります。業務提携を単独で行うよりも連携をより深めることができます。

合併

合併とは、2つ以上の企業が、契約により1つの企業に統合される法的な手続きをいいます。
合併には、買収する会社が消滅する会社の権利義務の一切を承継する吸収合併と、売手企業も買手企業も消滅して、その権利義務の一切を新たな会社が引き継ぐ新設合併があります。
合併によって消滅する会社の権利義務は全て存続(新設)会社に移転します。
そのため、簿外債務のような認識していなかったものについても承継されるリスクがあるので、デューデリジェンスの手続きが非常に重要になってきます。

 
⇒合併によるM&Aの基礎知識

 
【合併のスキーム図】
M&A【合併のスキーム図】

(買収の手法)

買収の方法としては、株式を取得する方法である株式譲渡」、「株式交換」、「第三者割当増資と、事業を取得する方法である事業譲渡」、「会社分割があります。
順番にご説明しましょう。

 
株式譲渡
株式譲渡とは、個人または法人が保有する株式を売買することで、株主の地位を他者に移転させる手続きです。
売手オーナー(個人)が株式譲渡を行う場合、株式の売却代金を得ることができるので、それをリタイア後の生活資金などに充てることができます

 
⇒株式譲渡によるM&Aの基礎知識

 
【株式譲渡のスキーム図】
M&A【株式譲渡のスキーム図】

 
株式交換
株式交換は、100%保有の親子関係である完全親子会社関係をつくるために使われる手法です。
株式を取得する対価は、原則として、現金ではなく買手企業が自社の株式を発行するため、買手企業としては手元資金がなくても支配権を獲得できるメリットがあります。
一方、売手オーナーの側としては、現金を受け取ることができないのはデメリットと感じることでしょう。

 
⇒株式交換によるM&Aの基礎知識

 
【株式交換のスキーム図】
M&A【株式交換のスキーム図】

 
第三者割当増資
第三者割当増資とは、会社が特定の第三者に対して新株を引き受ける権利を割り当てる形態の増資です。
売買ではなく増資なので、譲渡損益は生じないため、課税されることはありません
再生局面のように、売手企業自体に資金需要があるケースでは有効な手法といえます。

 
⇒第三者割当増資によるM&Aの基礎知識

 
【第三者割当増資のスキーム図】
M&A【第三者割当増資のスキーム図】

 
事業譲渡
事業譲渡とは、会社の事業の全部または一部を第三者に譲渡することをいいます。
事業譲渡は、譲渡対象にする資産・負債、従業員や契約等を選別し、個別に進める必要があるため、株式譲渡と比べると一般的には手続きが煩雑です。
買手企業にとっては、簿外債務を引き受けてしまうリスクがないという点でメリットがあるといえます。

 
⇒事業譲渡によるM&Aの基礎知識

 
【事業譲渡のスキーム図】
M&A【事業譲渡のスキーム図】

 
会社分割
会社分割とは、会社が権利義務の全部または一部を、他の会社に承継させるM&A手法のことです。
会社分割には吸収分割新設分割があり、「吸収分割」は切り出す事業を既存の会社に承継させる手法で、「新設分割」は、切り出す事業を新しく設立する法人に承継させる手法です。
また、分割の対価を受け取るのが分割会社か分割会社の株主かにより、分社型分割分割型分割の2パターンあります。
つまり、新設分割・吸収分割と分社型分割・分割型分割の組み合わせで、会社分割のパターンは4つあるということです。

 
⇒会社分割によるM&Aの基礎知識

 
【会社分割のスキーム図①】
M&A【会社分割のスキーム図①】

 
【会社分割のスキーム図②】

M&A【会社分割のスキーム図②】

 
⇒会社分割とは

 

◆M&Aのメリット・デメリット(留意事項)


買手企業・売手企業それぞれのメリット・デメリット(留意事項)は下記のようにまとめられます。

 
【M&Aのメリット・デメリット】

買手企業 売手企業
メリット
  • コア事業の強化、弱みの補完
  • 迅速に新規事業へ進出できる
  • スケールメリットによるコスト削減
  • 技術・ノウハウ・人材の獲得
  • 社長の後継者問題が解決する
  • 従業員の雇用を守ることができる
  • スポンサー確保による信用補完
  • 社長の個人保証を解消できる
  • 引退後の生活資金を手にできる
デメリット
(留意事項)
  • シナジーを得られるか不確実
  • 想定外の債務・支出の可能性
  • 中核人材の退職
  • 従業員間での軋轢
  • 買手企業が見つからない可能性
  • 社長が統合作業を担う必要性
  • 従業員の解雇・退職の可能性

 

(買手企業のメリット)

M&Aで会社を取得する側(買手企業)は、他社から経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報など)を取り入れることによって、中核にしている事業を強化したり、弱みを補完したり、迅速に新規事業へ進出することができます。
また、売上規模の拡大、スケールメリットによるコスト削減、技術・ノウハウ・人材の獲得などのメリットも代表的なものです。

(売手企業のメリット)

M&Aにより会社を取得される側(売手企業)のメリットとしては、後継者問題が解決し、事業を継続できることで、従業員の雇用が守られる点が大きいでしょう。
業績不振企業の場合であれば、スポンサーが見つかり、追加で出資を受けることができれば、信用が回復することで、取引先の不安を解消することができます。
何より、会社の連帯債務者となっている社長にとっては、個人保証から解放されるというのが心理的には非常に大きなメリットです。
加えて、株式を売却した対価と、会社へ貸し付けていたお金の返済、そして退職金で、引退後の生活を送ることができます。

(買手企業のデメリット(留意事項))

買手企業としては、当初想定していたようなシナジーが得られなければ、交渉段階で取得価額に織り込んでいた金額をそのまま損したことになります。
また、M&A成立後、当初は認識していなかった債務(簿外債務)や、想定外の支出、それが補償されていない契約上の瑕疵が発覚する可能性もあります。
会社の中核を担う人材が退職してしまう、というのも大きな損失です。
退職こそしなくても、売手企業・買い手企業それぞれの従業員間での軋轢というのは根深いものです。

(売手企業のデメリット(留意事項))

一番大きな問題は、買収してくれる企業がいない可能性がある、という点です。
現実のM&A市場においては、社長がこれまでどれだけ会社に投資をしてきたかではなく、会社の事業が将来的にどれだけの収益を見込めるかで評価されます。
マッチングの問題だけでなく、M&A成立後のヒトと組織の問題は、売手企業も買手企業と同様です。
買収された後に労働条件の変更解雇をさせないためには、事前に契約書で縛っておく必要があります。
 
⇒M&Aのメリット・デメリット 企業買収の成功と効果

 

◆M&Aの流れ


M&Aを実行するにあたって、実際にはどのような流れで手続を進めるのでしょうか。
売手サイドの場合を例に、M&Aアドバイザーのサービスとともにご説明すると、以下のフロー図にまとめられます。
 
【M&Aのフロー(前半)】

    取り組む
テーマ
M&A専門会社のサービス
事前準備
ニーズの整理
関係者の調整
ヒアリング・ターゲット選定 各種のコーディネート

・利害関係者との調整
・スケジュール管理
・手続き管理 など

アドバイザー選定
アドバイザリー契約
仲介契約
候補選定
匿名打診
対象企業の選定 リスト作成 NN作成 IM作成
秘密保持契約
秘密保持契約書締結 ストラクチャー構築
タックスプラン策定
施策の検討・実行
IM提示
トップ面談調整 質疑応答
トップ面談

(① 事前準備)

まずは、M&Aの専門会社に依頼する前の事前準備の段階です。
以下のチェックポイントを確認しておく必要があります。
□M&Aの選択は妥当なのか
□対象企業をイメージできているか
□議決権は確保できているのか

(② アドバイザー選定)

M&Aで売手と買手の間に入るアドバイザーのことを一般的には「フィナンシャル・アドバイザー」といいます。
ここでは、分かりやすく「M&Aアドバイザー」と呼びましょう。
中堅・中小企業のM&Aでは、M&Aを専門としているコンサルティング会社仲介会社がその役割を担います。
 
⇒M&A 成否のカギを握る M&A アドバイザーの探し方
 
⇒M&Aのコンサルティング会社のサービスを紹介

(③ 候補選定・匿名打診)

M&Aアドバイザーが決まったら、買手候補へのアプローチの段階に進みます。
候補企業のリストを作成し、条件に合いそうな候補先を数社に絞込みます。
そして、ノンネームシートと呼ばれる匿名の企業概要を作成し、買手候補の会社に提示して打診していきます。

(④ 秘密保持契約)

買収を希望する会社が興味を示し、さらに詳細な情報の開示を求められれば、秘密保持契約を結びます。
これ以降、会社の名前やその内容が初めて開示され、情報の管理が非常に重要となるためです。

(⑤ IM提示)

秘密保持契約が締結されると、IM(Information Memorandum:インフォメーション・メモランダム)と呼ばれる企業の詳細情報を買手企業に提示します。
IMは「企業概要書」とも呼ばれ、会社の名前はもちろん、詳細な事業内容、財務情報が記載されたものです。

(⑥ トップ面談)

買手候補が具体的に買収を検討する段階になると、いよいよトップ同士の面談になります。
売手企業と買手企業のトップ同士が顔を合わせて話をする貴重な機会です。
お互いの紹介、売却・買収検討に至った背景、企業経営の中で大事にしている事などを共有することで、お互いが信頼できる相手であること確認する事が一番の目的です。
 
【M&Aのフロー(後半)】

    取り組む
テーマ
M&A専門会社のサービス
基本合意契約
基本条件の決定等
資料開示
基本合意書
最終契約書
適時開示
書類等作成
    各種のコーディネート

・利害関係者との調整
・スケジュール管理
・手続き管理 など

デューデリジェンス
デューデリジェンス
バリュエーション
統合後プランの策定
条件交渉
最終条件の決定・決済
条件交渉
最終契約
クロージング
クロージング手続き
   
PMI
統合作業 統合プラン実行支援

(⑦ 基本合意契約)

基本合意書の作成は必須のものではなく、M&Aの基本的な条件が法的拘束力を有しない形で規定されるのが一般的です。
多くの場合、買収の基本的な条件、誠実交渉義務、独占交渉権、守秘義務、スケジュールの概略などが規定されます。

(⑧ デューデリジェンス(買手による詳細調査))

基本合意をした後、買手企業は売手企業の実態を把握するために、デューデリジェンスを行います。
具体的には、買手企業が専門家に依頼し、その担当者が売手会社を訪問して、帳簿を閲覧したり、書面ではわからない会社の状況などをチェックする手続きが行われます。

 
⇒M&Aを成功させるデューデリジェンスとは

(⑨ 条件交渉)

デューデリジェンスの結果、交渉を断念させるような問題がなければ、経営者、役員、従業員の処遇や、最終契約までのスケジュール、その間に遵守すべき事項、守秘義務などに関する合意事項について固めます。
その後、細かい条件を詰めていき、最終的な売却価格を決定することになります。

(⑩ 最終契約・クロージング(代金受け渡し))

最後の手続きで、譲渡の内容(株式譲渡・事業譲渡など)、売買価格を定めた最終契約書を取り交わし、買手側から譲渡代金を受け取ります。
この最終段階で、売買条件、対価の支払い日などは、再度の確認が必要です。

(⑪ PMI(M&A後の統合作業))

PMI(Post Merger Integration)と呼ばれる統合作業こそが、M&Aの総仕上げです。
PMIでは、買手企業スタッフが現状を理解することが入り口となります。
そのため、M&A成立後は、できれば買手企業から売手企業に数人常駐して、ビジネスの流れやスタッフの特徴などを把握し、ノウハウを共有していくべきでしょう。
 
⇒M&A成立後の統合作業(PMI)

 

◆M&Aを成功させるためには~マッチング(パートナー探し)~


M&Aの要であるマッチング(パートナー探し)は以下のポイントを確認する必要があります。
 
□アドバイザーの信頼感・ネットワーク
委任するM&Aアドバイザーは上場しているような信頼できる会社か、十分なネットワークを有しているか、事前にしっかりと確認してから委任する必要があります。
 
□経済合理性
具体的には、経営資源が補完関係にあるか、事業上のシナジー(規模の経済、クロスセリングなど)が期待できるかなどが挙げられます。
 
□感情的に納得できるか
売手・買手の双方がお互いに敬意を感じ、信頼関係を構築できると感じられるかどうか、企業文化が合うかも重要です。

 

◆M&Aを成功させるためには~エグゼキューション(手続きの実行・進捗管理)~


エグゼキューション(手続きの実行・進捗管理)で不備があれば、良い相手との交渉も暗礁に乗り上げてしまいます。
以下のポイントを確認する必要があります。
 
□事前検討
自社の置かれている経営環境、自社の経営資源を見つめ直し、今後とっていくべき戦略を事前に検討する必要があります。
 
□アドバイザーの専門性
弁護士、公認会計士、税理士など各分野の専門家を組織化してワンストップで解決できる体制がM&Aアドバイザーに備わっているかは、案件を推進するスピードに関わります。
 
□経営リスクの認識・共有
都合の悪い事実ほど、早い段階からM&Aアドバイザーに共有することが重要です。
露見するのが後になるほど、買手企業の心証が悪くなり、破談する可能性が高まります。

 

◆M&Aに必要な経費


M&Aを進めるにあたり、当事者間の調整をするためにも、M&Aアドバイザーは必須です。
ただし、アドバイザーもボランティアではないため費用(報酬)が発生します。
業務委託契約締結時に支払う着手金、リテーナーフィーとよばれる月額報酬、買手企業との基本合意時に支払う中間報酬、契約成立時に支払う成功報酬が代表的なものです。
成功報酬に関しては、取引金額等と決められた料率から算出するレーマン方式を採用している会社が一般的です。通常、最低報酬が設けられています。

 

取引金額等 料率
5億円以下の部分 5%
5億円超10億円以下の部分 4%
10億円超50億円以下の部分 3%
50億円超100億円以下の部分 2%
100億円超の部分 1%
例)取引金額が15億円の場合の手数料の計算方法
5億円×5%=2,500万円
+(10億円-5億円)×4%=2,000万円
+(15億円-10億円)×3%=1,500万円
6,000万円

その他にも、売手企業・買手企業の双方に弁護士費用、買手企業には、登記費用、デューデリジェンス(買収監査)費用が発生する可能性があります(金額は、規模や内容によって異なります)。

 

◆M&Aで知っておきたい税金の基本


M&Aで実務上利用されることが多い「株式譲渡」「事業譲渡」、そして「組織再編(合併、株式交換、会社分割)」についてご説明します。
 
【M&Aの手法ごとの税金】

M&Aの手法 対価を
受け取る者
対価の種類
(原価)
主な税金の種類と税率
(国税・地方税の合計)
株式譲渡 売手オーナー 現金 所得税等(譲渡所得)
20.315%
事業譲渡 売手企業 現金 法人税等 約30%
組織再編 合併 売手オーナー
売手企業
株式 所得税等(配当所得)
最大55.945%
法人税等 約30%(※)
株式交換 売手オーナー 株式 所得税等(譲渡所得)
約20.315%(※)
会社分割 売手オーナー
売手企業
現金
株式
所得税等(配当所得)
最大55.945%
法人税等 約30%(※)

(※)合併、株式交換、会社分割の組織再編において、税制上の「適格要件」を満たす場合、上記課税は生じません。

(① 株式譲渡

株式譲渡では、M&Aの売手企業の株主が、買手に株式を売却し、売却代金を手にします。
つまり、課税される対象は売却代金を受け取った売手企業の株主です。
この株主が個人であれば、株式を売却したことで受け取った利益(譲渡所得)に対し所得税が課され、売却した翌年の確定申告で申告・納税しなければなりません。
税率は所得税・住民税合わせて一定の20.315%なので、給与や事業収入などの所得が高い人でも納税額を抑えられます

 
⇒株式譲渡によるM&Aの譲渡所得と税金

 
【株式譲渡と税金】
M&A【株式譲渡と税金】

(② 事業譲渡

事業譲渡では、M&Aの売手企業が買手企業に事業に係る資産を売却し、売却代金は売手企業が受け取ります。
つまり、これによる利益は法人税(約30%)の課税対象となり、株主に税負担はありません。
ただし、事業譲渡で手にした資金を社長個人で受け取りたい、というときには別途課税される可能性があるので注意が必要です。

 
⇒事業譲渡によるM&Aと税金(全部譲渡)
 
⇒事業譲渡によるM&Aと税金(一部譲渡)

 
【事業譲渡と税金】
M&A【事業譲渡と税金】

(③ 組織再編)

M&Aでは株式譲渡や事業譲渡のほかに、合併、株式交換、会社分割といった組織再編という手法もあります。
手法にもよりますが、組織再編においては、多くの場合、売手が受け取る対価は、現金ではなく買手企業の株式です。
また、その組織再編行為が税制適格要件に該当するかどうかで、課税関係が変わってきます。

 
⇒平成29年度税制改正 適格要件の見直し

 

◆M&Aの市場背景


1990年代以降、日本国内ではM&Aが急増しました。
これは、バブル崩壊で日本企業の株式が軒並み急落したことに加え、1997年の独占禁止法の改正、1999年の株式交換・株式移転制度の導入、2006年の新会社法施行といったM&Aに関わる法規制の緩和が背景にあります。
 
経営危機に陥った企業の株式を買い漁り、リストラなどを決行することで企業価値を高め、その株式を売却することで利益を得る投資ファンドの動きが目立ったのもこの時期です。
「ハゲタカ」という用語がメディアで盛んに取り上げられ、忌み嫌われましたが、株式市場の透明性を高めるためには不可欠な存在、という考え方もあります。
ただ、こうした買収劇は、2008年のリーマンショックを契機に、緩やかに減少していきました。
 
近年では、異なる背景から、国内企業同士、国内&海外企業同士のM&Aが増加しています。
主な原因は、冒頭でもお伝えしたように、少子高齢化による人口減と国内市場の縮小です。
 
まず、国内企業同士のM&Aは後継者問題により事業承継に悩む中小企業間で数多く行われています。後継者がいない企業は、廃業の危機にさらされます。
ただ、廃業してしまうと社員たちが路頭に迷うことになるので、それは避けたいという経営者がほとんどでしょう。
そこで、M&Aによる事業承継を選ぶ経営者が増えているのです。
 
また、長引く不景気によって国内市場が縮小する中、日本国内に見切りをつけて海外企業をM&Aによって取得することで、新たな市場を開拓しよう、という企業も増えています。
海外企業のM&Aによって、日本企業の海外での存在感も高まっています。
国外事業の拡大に向けたグローバルサプライチェーンの構築を目的に、よりいっそう海外での企業買収が進むでしょう。

 

◆まとめ


ここまで、M&Aの手法やメリットなどを見てきました。一頃はM&Aというと、「ハゲタカファンド」のイメージが強く押し出されてきましたが、昨今では企業の生き残り戦略の一つとしての認知が進んでいます。
M&A の実務において、M&Aアドバイザーはパートナー探しから、実行支援、M&A 成立後の統合コンサルティング、税金のシミュレーションなど、あらゆる場面で重要な役割を果たします。
後継者難などで事業の継続に悩んでいる経営者の方は一度、自社にふさわしい事業承継方法を検討するために、M&Aアドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか。

 
⇒M&Aコンサルティング会社のサービスを紹介
 
⇒M&Aのメリット・デメリット 企業買収の成功と効果

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