事業承継の基礎知識 3. 社長が取り組む相続対策

社長に相続が発生した場合、会社自体は相続の対象となることはなく、代表取締役たる地位も代表者の死亡により消滅する。つまり、会社を引き継ぐことと、死亡した会社代表者の相続のこととは、別に検討する必要がある。 故人名義の銀行預貯金や、故人が所有者となっている不動産等については相続財産となるが、会社に関係するものの中で相続の対象となるのは、株式会社であれば「株式」、有限会社であれば「出資持分」である。 会社の財産は、あくまで会社の財産であり、代表者の相続による影響は受けない。会社には、自然人とは別に、法人格が与えられており、それによって権利を持ったり、義務を負ったりするので、会社そのものは相続によって影響は受けない。しかし、中小企業では、故人の株式あるいは出資持分は、相続の対象になるため、相続発生後、遺産分割の内容次第では、後継者問題に発展するおそれがある。 また、会社への貸付金があればそれも相続財産となり、遺産分割の対象となる。しかし、会社の経営状況が悪く、貸付金が実質的に回収不能な状態だと、実質的に資本金のようなものとなってしまうこともある。名目だけの貸付金であっても相続すれば、それは相続税の課税対象として計算されてしまうため、事前の対策が必要である。 経営者としての事業承継と、オーナー経営者の相続対策は切っても切り離せない。相続財産は自社株式だけではなく、会社への貸付金や、事業にかかわる不動産なども該当する。相続税額を事前に試算するにあたっては、相続税法上の特例なども考慮して、可能な限り正確に把握しておくことが好ましい。現状を知った上で、相続対策は「税金」「遺産分割」「納税資金」の視点を持って実行の妥当性を確認しておきたい。