M&Aの基礎知識 2. 知って得するM&Aの手法

M&Aの手法は数多くある。株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割、現物出資、現物分配、株式交換・株式移転、第三者割当増資、それぞれで税務上、会計上の取扱いも異なる。対象事業の範囲、事業統合の形態、支配のレベルなどに応じて手法を使い分けることで、コスト面、リスク面の問題をコントロールすることができる。

2-3. 合併によるM&Aの基礎知識

合併とは

合併とは、2つ以上の企業が、契約により1つの企業に統合される法的な手続きをいう。

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合併には一の事業体が消滅する事業体の権利義務の一切を承継する「吸収合併」と、全事業体が消滅してその権利義務の一切を新たな事業体が引き継ぐ「新設合併」がある。
前者において吸収される企業を消滅会社、存続する企業を存続会社、後者において新設される企業を新設会社という。
合併を行う目的としては、一般的には、売上規模の拡大、スケールメリットによるコスト削減、ノウハウ・人材の相互活用などが挙げられる。

実務上、新設合併は、手続き、費用の面から不利になることが多く、多くの場合、吸収合併が利用される。
組織内再編として、100%子会社を親会社が吸収合併したり、100%子会社同士で合併させたりといった例は多く見受けられる。
合併によって消滅する会社の権利義務は全て存続(新設)会社に移転する。したがって、簿外債務のような認識していなかったものについても承継されるリスクがあるので、M&Aの局面ではデューデリジェンスの手続きは重要になる。

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法的には、被合併会社の資産と負債が包括的に合併会社に移転し、被合併会社は清算手続きを経ることなく消滅するため、解散決議、清算手続きは必要ない。

合併によるM&Aの被合併法人の課税

合併によるM&Aにおける被合併法人側は、合併による資産等の移転は原則として時価による資産等の譲渡として取り扱われ、その譲渡利益額又は譲渡損失額は、合併の日の前日の属する事業年度の益金・損金の額に算入する。
ただし、一定の要件を満たす場合には「適格合併」に該当し、最後事業年度終了の時における帳簿価額による資産等の引継ぎが行われたものとして譲渡損益の計上が繰り延べられる。

合併によるM&Aの合併法人の課税

合併によるM&Aにおける合併法人側の資産等の受入については、「適格合併」であれば被合併法人における帳簿価額を引き継ぎ、「非適格合併」であれば移転時の資産等の時価をもって受入価額とすることになる。
したがって、合併法人において合併による課税は基本的には生じない。

合併によるM&Aの株主の課税

合併によるM&Aにおける被合併法人の株主が、合併法人の株式のみの交付を受けた場合には、旧株の譲渡対価は、その合併の直前の帳簿価額とされるため、譲渡損益は認識されない。
株主が合併法人の株式以外の金銭等の資産の交付を受けた場合には「非適格合併」となり、原則通り譲渡損益が認識され、さらに「みなし配当」に対して課税される。

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吸収合併によるM&Aの手続き

合併契約の締結
株主総会による合併契約の承認
債権者保護手続
④株主の株式買取請求、新株予約権者の新株予約権買取請求
⑤公正取引委員会への届出
⑥登記

消滅会社の株主に交付する対価が存続会社の純資産額の20%以下である場合は、存続会社の株主総会の承認を省略することができる(簡易合併)。
また、議決権の90%以上を直接または間接に保有している会社(特別支配会社)との間における合併については、株主総会決議は不要である(略式合併)。

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合併によるM&A後に課税時期がある場合の評価方法(類似業種比準価額方式の適用の可否)

合併後に課税時期がある場合に、類義業種比準方式を採用できるかどうかは、直前期末(又は直前々期末)における比準3要素(配当、利益、純資産)の数値が適切に把握できるか個別に判断した上で決定する。
比準3要素の数値が適切に把握できないと判断された場合、類似業種比準方式を採用できないため、純資産価額方式を採用することになる。

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