M&Aの買手が決まるも、MBO(現経営陣の承継)へ移行した事例

譲渡会社:X社

事業内容
製造業
エリア
北陸地方
売上規模
10~30億円

譲受会社:A社

事業内容
商社
エリア
全国展開
売上規模
200億円以上

当社の関わり方

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背景・売手オーナー様の課題

X社の会長は創業者であり、30年以上事業を継続してきた。過去、幾度となく経営の危機に直面しては、その度に危機を乗り越えてきたが、今再び、経営に係る大きな悩みを抱えていた。後継者問題である。

会長は10年以上前から現社長に代表権を与えて、自らは経営から距離を置こうと考えてきた。しかし、経営の引き継ぎが上手く進まず、財務状況は悪化。代表者は据え置いたものの、会長が取締役として会社に戻り、実質的に経営を担う事となった。また、この出来事を境に現経営陣と会長との間に心理的な溝が生じてしまい、今後の会社の存続も含めて早急な対応が必要な状況であった。

その後も次期後継者は見つからないまま、会長は70歳を過ぎ、外部から経営人材の招聘も検討したが不発であった。そこで、最後の事業承継手段として考えたのがM&Aである。会長自身は当初、第三者に事業を引き渡すことに積極的ではなかったものの、従業員や得意先に迷惑をかけるわけにはいかないという強い思いからM&Aという決断に至った。

M&Aの進め方と顛末

買手候補選定の基本方針

  • 買手に求める譲れない条件は、資金力があり、従業員を任せられる会社であること。
  • 会長の健康状態に不安があり、極力早い時期に譲渡を実行したい。
  • 一方で、地場では有名な会社であったため、風評被害が出ないよう候補先は数社に絞り打診活動を開始。面談を行うなかで信頼して任せられる企業との交渉を進めていく。

A社を選定した理由

  • 経営方針の面で、会長とA社の思考が似ており、面談の中で意気投合できた。
  • 資金も潤沢で、従業員や取引先への迷惑をかける心配がなかった。
  • 事業面でもX社が取り組めていない課題に対して、A社が解決方法を持っている等事業シナジーを見込める点が多かった。
  • X社の知名度、技術力の高さ、を最大限評価した譲受金額が提示された。

M&AからMBOへ移行した理由

  • 以前より、会長から経営陣に株式を渡しており、会長の保有分は過半数に満たない状況だった。
  • 会長の判断で現経営陣にはM&Aに関する情報を相談しないまま進めてしまった。
  • 創業家である会長の言う事に、現経営陣は従うものと過信していた。

結果

現経営陣の反発・MBO

  • 株式の譲渡承認決議に関する役員会において、現経営陣に初めてM&Aの意向を提示したところ、現経営陣から猛反発を受ける。その結果、譲渡承認が否決され、株式を譲渡できない状況に至った。
  • 代表取締役社長が独立資本での経営を希望。会長の決意が現経営陣に伝わり、会長から依存した体制からの脱却を行うことを決意した。
  • 現経営陣がリスク等をすべて背負う形で、会長の株式を買取ることで合意。