世代交代の検討をきっかけにM&Aを決断した事例

譲渡会社:X社

事業内容
設備工事業
エリア
東海地方
売上規模
10~30億円

譲受会社:A社

事業内容
製造業
エリア
全国展開
売上規模
50~100億円

当社の関わり方

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背景・売手オーナー様の課題

X社の創業者の奥様及び社長が、弊社に事業承継対策の相談をしたのが、今回のM&Aのきっかけである。当時のX社は、創業者であるオーナー社長が3年前に逝去し、経営を任された社外顧問も社長を就任して2年ほどで持病の悪化により社長を退き、急遽、当時の生え抜き役員であった経理担当者が社長になって1年が経過した頃だった。

X社が事業承継対策を相談したきっかけは2つある。
一つは、創業者の奥様の相続対策である。創業者の奥様は、X社の大株主かつ非常勤役員であり、主な資産は自宅とX社の未上場株式だった。創業者の奥様に万が一の事が起こった際には、早期の換金が難しい自宅と未上場株式に多額の相続税が課され、相続人が納税資金不足に陥ることが予想された。入社以来、創業者にお世話になってきた3代目の社長が、奥様のことを思い、X社株式の換金化を提案し、専門家への相談を促した。

二つ目は、社長の後任問題である。先に述べた通り、X社は度重なる不運により短期間に経営者が2度交代している。現社長が社長に就任した理由も、X社の建設業許可の維持、及び3度目の社長交代の回避が最大の目的であり、3代目社長は、X社の経営体制の立て直しと共に、中長期的な経営方針を持った後任社長を見つけることに使命感を持っていた。

上記の理由から、創業者の奥様及びX社の経営陣は協議を重ね、X社の新オーナー社長を検討したが、残念ながら、X社社内には、新オーナー社長になり得る人材は見つからなかったため、M&Aを決断することとなった。

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M&Aの進め方、成約のポイント

買手候補選定の基本方針

  • 買手に求める条件は、従業員・顧客・外注先を大切にするX社の社風を維持すること。
  • 創業者が築き上げたX社の財務内容・事業構造を適正に評価してくれる買手であること。
  • 入札形式でなく、相手と相対で協議を重ねながら、候補先を選定すること。

A社を選定した理由

  • A社の従業員を大切にする社長の人柄がX社の経営陣を魅了した。
  • 過去に買収したA社の子会社が事業拡大していることが、X社に安心感を与えたこと。
  • 株主全員が納得する価格提示をしたこと。

成約のポイント

  • X社の株式は分散していたが、社外株主は1人もいなかったこと。
  • 創業者の奥様と3代目社長の間に固い信頼関係があったこと。
  • X社とA社の社風及び社長の経営方針が見事に一致したこと。

成果・効果

創業者の奥様の相続対策の実現

  • 創業者の奥様はA社への株式売却により、未上場株式の換金に成功し、安心してX社の役員を退任した。また、退任後もA社の社長に地元イベントに招待されるなど、退任後の生活を楽しんでいる。

X社の持続的成長

  • X社は、退任された創業者の奥様の代わりに、A社の常務が非常勤役員に就任しただけで、現状の社風・経営方針を維持したまま、事業を運営している。
  • X社は従業員の高齢化が進み、技術の承継が進んでいなかったが、A社の子会社となり、若手人員の出向を受け入れたことで、X社は、技術の承継、持続的成長を実現することができている。